あまるのひとりごと PR

これからの飲食業は二足目の草鞋が必要

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今年に入ってほとんどの期間を緊急事態宣言として過ごしてきました。
時短営業も苦しいものですがそれ以上にお酒を提供できないという事態は飲食店において危機的な事態でした。
長く飲食業に携わっていますが、このような状況になるとは夢にも思っていませんでした。

前々からこれまでと同じ働き方に限界があると感じていました。
この考えがコロナ禍においてさらに顕著になったと思います。
飲食店を運営していく中でこれからのことをより具体的に考えていきます。

コロナ禍における飲食業

時短要請

今年に入ってから大半の期間、時短要請のためしんやの営業が制限されました。
今現在になってもまだ続いています。
今まで当たり前に営業出来ていたのが当たり前ではなくなり、多くの飲食店が深夜の営業とは別のところに活路を見出さなければならなくなりました。
飲食店側だけにとどまらず、お客様側の生活様式にも影響が現れると思います。

酒類自粛

時短営業の要請以上に飲食業に大きな影響を与えたのが、酒類の自粛です。
特に「夜」「酒」といえば居酒屋業態。
飲食店でも様々な業態がありますが、居酒屋業態はまさに商売を禁じられたにほぼ等しい状況でした。
お客様も外食ではやはりお酒は飲みたいものなのでしょう。
期間中、営業をしていると「お酒は飲めるの?」という問い合わせを多く受けました。
かつての狂牛病やユッケの時のように主力商品を売ることができなくなった場合、すべてがストップしてしまいます

テイクアウト、デリバリー

時短営業、密を避けるという感染対策から客数に限りがあり、もちろんそれが売上にも直結します。
売上を確保したい店舗側と感染を抑制したい自治体の思惑が重なりテイクアウトやデリバリーへの転換や導入が急激に進みました。
UberEatsなどのフード配達も副業として始める人が急増し様々な店舗でデリバリーを見るようになりました。
もはや外食に出かけなくても多くの店舗の料理が家庭で食べれるようになりました。

ランチ営業

夜の営業ができない代わりにランチ営業を始める店舗も増えました。
飲食業はもともと激戦業種です。
ランチとディナーとの棲み分けすらもなくなりつつあります。
お客様側からすれば選択肢が増え、店舗側からすれば競争が激化します。
この数か月の間にオープンした店舗を見てみるとランチ、個食が可能な業態がほとんどです。
これまでのように夜だけの営業では苦しくなってきている証拠です。

それぞれの価値観

今はまだ要請を守っている飲食店には補助金が出ています。
それによりつなぎとめている店舗の数多くあります。
補助金も近いうちに無くなり、いよいよ自分たちでやりくりしていく時がやってきます。
それまでの決して短くはない期間に何を準備してきたかが問われます。

お客様の生活様式や価値観ががらりと変わりました
その中でどのような価値を提供できるかで新しい時代を生きていけるかが決まります。
ニュースを見ていると様々な飲食店の特集が映し出されています。
今まで通りのやり方の店舗からは不満の特集
新たなチャレンジをしている店舗からはその特徴と成果の特集がくまれています。
これからのどちらが続いていくかは一目瞭然です。

ますます厳しくなる飲食業

全面禁煙

嫌煙ムードが強くなってきているとはいえ、一定数喫煙者はいます。
店内で喫煙するスペースを作るにはそれなりの設備が必要です。
そこに投資するだけの回収が見込めるかどうか。

HACCAP対応

世界基準の管理基準が導入されました。
これによりかなり厳しい管理が必要になります。
もちろん、高い基準で管理し安心安全を担保することは必要です。
しかしこの基準に上げるのにも維持管理していくにも大きな労力が必要です。
つまり設備や人件費がこれまで以上にかかるということです。

原価、人件費高騰

アメリカ産の牛肉一つとっても10年前から1キロ1500円近く上がっています。
(私が扱っている牛肉を参考にしているのですべて同じわけではありません)
海鮮や野菜なども上がっています。
しかし商品価格はそれほど上がっていません。

人件費も年々上がっています。
飲食店はアルバイトを雇用している店舗が非常に多い。
その状況下で最低賃金がどんどん上がっています。
それはそのまま店舗の経営に影響を及ぼします。
人件費抑制の動きとして作業は無人化が進み、レジ・オーダーテイク・提供などの面で機械化が進んでいます。

飲食業の姿

飲食業の醍醐味

単なる食事の場ではない
感染対策の一つとして「黙食」が推奨されました。
食事をする場に会話がないことに大きな違和感を覚えた人は多いのではないでしょうか?
複数の人が集まって食事をするのは、ただ単に空腹を満たすための行為ではない。
食事とともにコミュニケーションを取ることで親睦を深めたり、団欒をしたり、関係性を作る場になります。
飲食店は人間関係を築く場を提供してきました
それがどれほど価値のある場であったかを再認識できました。

飲食業で働く意味

コロナ禍で飲食業の在り方が大きく変わりました。
ランチを始める店舗、テイクアウトやデリバリーを始める店舗、休業する店舗、要請を守らない店舗・・・。
試行錯誤して新しいチャレンジをする店舗もあれば、休業し助成金で普段以上の利益を得た店舗も少なからずあります。
何が正しいかわかりませんが、私自身は飲食業で働くなら店舗でスタッフとともにお客様相手に営業がしたいし、
それが飲食業のあるべき姿だと思いました。
それがしたいから今まで続けてきたんだと気付きました。
テイクアウトやデリバリーを否定するわけではありません。
そもそもの店舗がなくなってしまうと何もできなくなります。
しかし、スタッフやお客様と接することで得られる価値があるから続けていきたいと思いました。

これからの飲食業

飲食業は店舗ビジネスですが、そこだけをやっていては日々が苦しい戦いになります。
真剣にやるのと追い込まれてやるのとは全く違います。
真剣勝負をして毎日笑って働けるように飲食業の在り方が変わらなければならないと思います

ランチの開拓

これからはランチだからといって価格を無駄に下げる必要はない
これまでもランチで収益は上げられていますが、ディナーに比べれば利益率は低い。
夜の営業がメインの店舗にこの傾向が強い。
この構造を変え、ランチでしっかり稼ぐようにする。
定食屋さんや蕎麦屋さんなどはランチでもディナーでも同じ価格のところが多い。
それでもしっかり集客出来ている。
自信をもって提供できる質にすることで客数は少なくなっても利益は上がるようにできます。
そしてこの方が楽です。

安心して働ける土台づくり

真剣に毎日笑って働けるように飲食業の在り方とはどんなものなのか?
明確な答えは出ていませんし、人によって違うと思います。

飲食店の最大の欠点は、顧客数は店舗の広さに大きな影響を受けることです。
どんなに頑張っても1日は平等に24時間しかありません。
店舗の広さ、客席数も決まっているのでそれ以上の顧客に販売することはできません。
それを補うのがテイクアウトやデリバリーです。
他にできることはないだろうかと考えます。

店舗ビジネス以外のところで稼ぐことができれば、精神的な余裕もでき、一日一日の売上に一喜一憂する必要はない。

このコロナ禍では飲食店は手厚い助成金をいただきました。
そのおかげで営業が続けられた店舗も多くあります。
恥ずかしながら私の店舗もその一つです。
しかし、いつまたこのようなことが起こるか分かりません。
その時に同じように保護されるとも限りません。
店舗ビジネスはただでさえ激戦となり、薄利の業種です。
酒類解禁になり「良かった。元に戻る」ではなく、新しい飲食業の在り方を模索する必要があると強く感じています