飲食業は苦戦を強いられています。
売上、人員、経費、お客様からの要望などおかれる環境は年々厳しくなっています。
日々の業務をこなしながら転職を考えている人も少なくないのではないでしょうか?
どうやって転職をしたらいいのか
飲食業からだとどんな業種に転職しやすいのか
私の考える結論は
ずっと飲食業をしようと思えなくなったなら
20代のうちに転職するのがおススメ
けれど、
20代前半はしっかり飲食業で学ぶのが転職先で成功するポイント
30代はまだ間に合う
40代からは難易度最上級
です。
これらを解説していきます。
何のために転職をするのか
転職を考えるには理由があります。
今の仕事がきつい
給与が低い
休みがない(アルバイトのシフトに影響されるので不安定)
など
どれも大きな理由です。
しかし、このようなマイナスの理由だけで転職をしようとするとうまくいきません。
転職するには企業に採用される必要があります。
採用する側は見ています。
転職する理由を。
表面上だけではなくその本芯の部分まで。
つまり前向きな理由を芯に持っておく必要があります。
自分がどうなりたいのか
何をしたいのか
新たな企業においてどのようなことができるのか
などこれからのことをしっかり考えておきましょう。
現状を抜け出したいという思いだけでは何も変わりません。
これからどうしたいかを見据えましょう。
転職のメリット
待遇
飲食業の一社員の待遇は起業にもよりますがあまり良いとは言えません。
基本的には普通の人が仕事をしていない時間帯が勤務時間になるので、夜遅い時間まで働きます。
ランチ営業もやっている店舗にいれば開店準備や閉店業務を考えると午前中から夜遅くまでもざらにあります。
年末年始やゴールデンウィークなどは稼ぎ時です。
出勤日もシフト制でアルバイトのシフトに影響されるので不定期だったり、プライベートの予定がなかなか組めないことも多い。
このような過酷な状況の業種はそうそうありません。
故に転職することでこの状況から脱することができます。
成長を感じられる
飲食店での仕事はルーチンワークになることが多い。
特に接客以外の仕事はいかに効率を上げるかが重要なため、余計なことをそぎ落としスピード重視になりがちです。
思考することが減り、日々の業務に埋没していることでしょう。
職場が変わり視野が変わることで
「こんなこともわかるようになっている」
と気付くことが多くあります。
埋没していた日々の中でも成長していた自分を実感することができるでしょう。
自分の原点を見つめ直せる
転職したらというわけではありませんが、転職をするためにあれこれ考えていく中で
なぜ仕事をするのか
自分にとって働くということはどういう意味があるのか
自分の本当にやりたいことは
が見つめ直せる思います。
現実から逃げたいだけの転職では見つかりません。
見つからないということはその後の人生はやはりやりたくない仕事をやり続ける人生になるはずです。
転職のデメリット
新しい環境に対してのストレス
今まで店舗を仕切る仕事をしていた中、新たな職場で働き始めると立場も変わり、仕事内容も変わり大いにストレスに感じると思います。
これは受け入れるべき障害です。
受け入れられないのなら転職はできません。
この障害を超えるためには仕事に真剣に取り組み、早く覚えることしかありません。
その為にも、何のために転職をしたのかをしっかり心に持っていましょう。
新しい人間関係の構築
これもまた新しい環境になるため現れる障害です。
新卒で入社しても人間関係の構築は必要です。
ただ、周りが同じ新卒という中での構築と自分だけが中途採用という状況での構築とではハードルが違います。
とはいえ、人間関係の構築はどこにいても必要なものです。
人間関係の幅が広がると考えて楽しんで広げていきましょう。
今後、転職しようと思ったときに不利
転職歴が多くなると、企業も「採用してもまた転職するんじゃないか」と考えます。
企業としてはすぐやめるかもしれない者を雇うメリットはありません。
なぜなら中途採用の人を一人採用するのにも100万円以上の費用が必要で、1年間雇うだけでも400万円以上の費用(給与、研修、社会保険など)が必要です。
それだけ費用を使ったのにもかかわらずすぐに退職されてはマイナスにしかならないからです。
転職履歴を増やさないためにも、その仕事をなぜ選ぶのかと自分のやりたいことを一致させておきましょう。
飲食業で働いて得られるスキル
飲食業で働いていて重宝されるスキルがあります。
若いうちからいろいろな仕事を任せられることがある飲食業だからこそ転職に有利になることもあります。
マネジメントスキル
店長クラスになると小さな会社の社長のようなものです。
- 売上
- 経費管理
- 利益
- 部下社員やアルバイトスタッフの管理育成
- 顧客管理
- 店舗営業の質の向上
- 食材管理 など
さまざまなものを管理し、時には権限委譲しまたそれを管理する力が必要です。
業種は変われど仕組みは大きく変わりません。
培われてきたマネジメントスキルは強い武器になりえます。
コミュニケーションスキル
単純に人と話すスキルというわけではありません。
大事なのは
相手が何を欲しているかを察し
言語化したり行動をする力
です。
飲食業で接客をしていると毎日何人ものお客様を相手にそれぞれに合ったサービスを提供することが求められます。
そのためには相手をよく見て、その時々に何を欲しているのかを察する洞察力を磨く必要があります。
同様に相手のことを覚えておき、次に来店してくださったときにその続きで接客ができるということも優れたスキルです。
話すことが得意な人は多くいますが、本当にコミュニケーション力が高い人は
相手のことをよく知ろうとし、相手のために何ができるかを考え実践できる人
です。
実践できるというのは行動でありコミュニケーションではない
と思うでしょうが、とても重要です。
なぜならば
相手に対して自分優位のコミュニケーションが取れるようになる
からです。
自分優位のコミュニケーションが取れると販売に強くなれます。
人材育成スキル
飲食店には基本的に一日に働く人数の3倍以上の人数がスタッフとして在籍しています。
その人数のスタッフに対して毎日の営業のブレをなくし質を向上させていくためには計画に沿った育成が必要です。
学生アルバイトをメインに雇用している飲食店の場合は毎年スタッフの卒業と新たな雇用があり、育成が終わることはありません。
店長ならば自分が休むためには自分と同等の仕事ができるスタッフを育てる必要もあります。
長く飲食業をやっていると、学生アルバイトの価値観の変化も感じます。
今までやってきた育成方法が今のスタッフには当てはまらなくなっている
ということを肌で感じます。
つまり、育成方法もアップデートが必要です。
人材育成ができると組織構築が上手くいく上に、離職率を減らすことにも大きく影響します。
どの業種にも必要不可欠なスキルです。
マーケティングスキル
『そんな大層なことはしたことがない』
という人も多いことでしょう。
自分ではそう思っていないだけで必ずやっています。
「今日は雪で客足が遠のきそうだから来てくれたお客様に感謝のクーポンを配布しよう」
「今日はおススメレースをやってみよう」
などやったことあるんじゃないでしょうか?
売上や販売を予想して低くなりそうならば打ち手を講じてその結果を操作する
それがマーケティングです。
あとはその打ち手が大きいか小さいかです。
さらに言えば
≪出た結果を蓄積、分析し次の打ち手を考え実践する≫
これができればマーケティング力は十分あります。
役職や立場によって権限が異なるので打てる手も変わります。
自分の権限の中で打てる手を打ち成果を出していくことで権限の大きさも変わっていきます。
ストレス耐性
スキルというには判断が難しいところです。
しかし、成果を出すためにはストレス耐性は重要な要素です。
出来なかったことに直面しそれを超えることで成長します。
成果を出すにも、何度も失敗し成果が出るまで試行錯誤する力が必要です。
飲食業は過酷な業種であるがゆえにこのストレス耐性がついている人も多くいます。
楽な仕事で稼げるならその方がいい。
仕事を楽だと思えるようになるまでにはそれまでの積み重ねがあってこそです。
どれも一朝一夕で身につくスキルではありません。
マネジメント・コミュニケーション・人材育成・マーケティングが身につく頃にはストレス耐性も身についています。
転職先おススメ
営業職
コミュニケーション力やマーケティング力を活かせば営業職で力を発揮することができます。
私の知人にも保険の販売、人材採用やグルメサイトへの転職をした人がいます。
特に人材採用やグルメサイトでは自身が飲食業をしていたというバックボーンも強いセールスポイントにできます。
セールスでは共感することでクライアントに信用してもらいやすくなります。
ただ飲食業をやっていたということを伝えても「ふ~ん」でおわりますが、
クライアントの悩みに共感し提案することで成約率が上がります。
食品関係
店舗に食品を卸す側の企業です。
食材の扱いに精通している飲食業なのでその知識経験を活かすことができます。
店舗運営をしている中で取引業者に対しての要望もあったと思います。
同じ要望を持っている他店もあるはずなので、それを形にすれば成果を上げやすくなる可能性もあります。
衛生管理
特に大手チェーン店に勤務している人なら経験があると思います。
店舗の衛生検査に巡回している企業です。
衛生管理は飲食店の基本であり重要項目です。
衛生状態を確認、指導することは大きな社会的意義がある仕事です。
この仕事も培ってきた店舗管理力を発揮して行える仕事です。
介護、福祉
ここでは相手をよく見て察する力が必要です。
コミュニケーション力やチームワーク、ストレス耐性など多くの経験が活かせます。
高齢化社会に突入し、2025年問題にも挙げられるほど深刻な状況となってきました。
需要の高い職業です。
これからどんどん高くなっていく業種であるといってもいいかもしれません。
飲食業とは違い季節などに影響を受けることもないので、安定した業種ともいえます。
需要が高まる半面、人員不足も予想されるため労働条件が飲食業と似ているケースもあります。
しっかりと事前確認を行いましょう。
飲食業内での転職
今勤務している店舗で働くのは厳しいけれど飲食業自体は好きなので続けたいという人は他の飲食業の企業を探してみるのも選択肢に入ります。
全ての企業が激務というわけではありませんし、飲食業とひとくくりにしても業態や価格帯は様々です。
今は飲食業界専門の転職サイトやエージェントがあり、また人材を求めている企業も多いので転職しやすいのも利点です。
店長として勤務していればエージェントの方から勧誘がかかることもあります。
自社他業種への異動
現在勤務している企業が飲食業以外も展開している場合のみ取れる転職方法です。
一番簡単な転職方法ではありますが、
- 同じ企業とはいえ別業種への異動なので社内でのポジションがどうなるか
- 自分がやりたい職業なのか
をよく考えるようにしましょう。
転職のポイント
転職に動くのは早い方が有利です。
年齢が上がるにつれて他業種への転職の難易度は跳ねあがります。
とはいえ、何のスキルもない状況ではやはり難易度は高いです。
20代前半ならしっかりスキルを磨きましょう。
30代以降は経験を積みスキルもあるのでなるべく早く動きましょう。
起業する
転職以外の選択肢です。
特に40代を超えていると起業を視野に入れた方がいいかもしれません。
なぜならば、
40代以降の他業種への転職は本当にハードルが高い
からです。
ここで挙げたスキルもこの年代になってくると
「多少劣っていても若い世代を採用して育てたほうがメリットがある」
と企業は考えます。
それでも採用したいと思えるくらいの圧倒的な成果があれば可能性はあります。
しかしその圧倒的な成果がある人は転職をあまり考えないのではないでしょうか?
そうなると起業が選択肢に入ってきます。
もちろん若い世代の人にも当てはまります。
起業も大きく2パターンあります。
フランチャイズ契約
フランチャイズのマッチングサイトがあるのでそこで条件が合う企業を探します。
フランチャイズの場合いろいろな制約やロイヤリティの支払もあるので条件、待遇をしっかり確認する必要があります。
売上があっても利益が出にくいという場合があったり、制約があり思ったような行動がとれないということもあります。
自分で始める
自分でビジネスを立ち上げる方法です。
リスクは高いです。
何もしなかったら収入はありません。
今までの生活を維持することもできません。
リスクを回避する方法は
- 初期投資を出来る限り低くする
- 固定費や変動費を出来るだけ下げる
といったことですが、それでは売上も低くなります。
リスクを最小限にするためには
転職するまでに副業として始めて育てておく
ことです。
見込みが立つまで続ける必要がありますが、それ以外はほぼノーリスクです。
副業収入があれば現状で満足できるようになる可能性もありますし、副業が大きくなればそのままそれを本業にもできます。
また転職をする際にも副業で得たスキル、経験、人脈など今までのものに上乗せすることもできます。
まとめ
飲食業をやっていて転職を考えている人は多いと思います。
転職を考えるならば早い方が絶対に有利です。
特に20代ならばまだまだ引く手数多です。
しかし、強みがないままの転職では選択肢が狭まります。
店長を目指していろいろなスキルを身につけた上での転職がおススメです。
その過程の中で自分が人生を使ってやっていきたい仕事を見つけていきましょう。
飲食業では様々なスキルが身につけられます。
マネジメント、コミュニケーション、人材育成、マーケティング、ストレス耐性
専門知識、技能を除き即戦力になりうるスキルです。
まずはこれらをしっかり磨き転職に備えましょう。