- 飲食店でアルバイトきついと言われるけれどどうなんだろう?
- 一人暮らしだからまかないがつく飲食店でアルバイトをしようかな。
- ブラックといわれているから飲食店でアルバイトしない方がいいかな?
飲食店でアルバイトをしようと考えているけれど決めきれない方に飲食店で働くメリットやデメリットを紹介します。
アルバイトを探す際に、飲食店を選ぶかどうかが判断できるようになると思います。
20年以上飲食店で働いてきた自分自身の経験や接してきたアルバイトさんからの気づいたことはきっと参考になるはずです。
メリット
・生活するノウハウを学べる
・人に優しくなる
・人材育成能力が得られる
・まかない
デメリット
・仕事内容が客数に左右される
・人員不足の日
・接しにくいお客様の存在
・ファッションの制限(店舗による)
飲食店で働くメリット
飲食店でのアルバイトは「きつい」「ブラック」という話をよく聞くと思います。
否定はしません。
特に「きつい」という点においては。
「ブラック」という点に関しては、残念ながらそういう店が多くあると思います。
情報量が格段に増えた弊害かと思いますが、悪い情報はよく広まります。
普通の特に問題のない店舗はもちろん良い店舗の様子などはほとんどニュースにはなりません。
「ブラック」という印象がある業界ですが、まっとうに営業している店の方が多いと思います。
学生のころから飲食店で働き、今は店長として長く勤めています。
毎年何人ものアルバイト希望の方たちの面接をします。
中には飲食店でのアルバイト経験者も何人もいます。
引っ越しなどの個人の理由で退職している人もいれば人間関係や店長の対応などで退職している人もいます。
最近は後者の割合が多くなったと感じています。
しかし、そんな経験をしている方たちも再び飲食店でアルバイトを始めようと面接に来てくれています。
それは飲食店でのアルバイトにメリットを感じているからだと思っています。
事実採用した方たちはとても生き生きと働く人が多いと感じています。
今回紹介するメリットはただ所属するだけでは得られないものがほとんどです。
発注やスタッフ育成などマネジメントを任されるようになれば別ですが、飲食店でアルバイトをする際に覚える作業のほとんどは将来の役に立たちません。
しかし、そこでした経験や得たスキルは必ず社会に出てから活きるものだと思っています。
生活するノウハウを学べる
主に男性にとってのメリットになってしまいますが、家事関連に強くなれることです。
大きな点はもちろん食事(調理技術)です。
ここがほかのアルバイトと一番違うところです。
最低でも基礎的なことは学べます。
ぼく自身アルバイトをしていた学生の頃に調理師免許とふぐ処理師の資格を取得できました。(そこまでする必要はありません)
キッチンが得意な人は教えるのが好きな人が多いのでコツや裏技などを聞くことができます。
近年は共働き世帯が増えているのであるもので料理ができるということは大きなアドバンテージです。
掃除や整頓、特にトイレは飲食店において第二の顔ともいえるのできれいにする習慣がつきます。
小さなところだと、トイレットペーパーや洗剤の補充など日々のちょっと面倒なことを苦にせずできるようになります。
些細だと思うかもしれません。
この「名もない家事」といわれるこれらのことを当たり前にできるとパートナーと良好な関係が築けます。
我が家は夫婦喧嘩をしたことがありませんが、こういう日々の積み重ねがその秘訣だと思っています。
人に優しくなれる
昔の飲食店は当たり前ですが食べ物や飲み物をお客様に提供してお金をいただいていました。
そしておいしいお店が流行りました。
今ももちろんその通りではあるのですが、それだけでは繁盛店にはなりません。
なぜなら、商品を提供すること、おいしい事は当たり前になったからです。
つまり、おいしいものが提供されるのは大前提でそこにどれだけの付加価値を付けられるかが重要になっています。
「笑顔」「元気」「気配り」「ストーリー」「体験価値」などが付加価値にあたります。
これらはそのまま働く人の人間的魅力といえます。
特にこれからの時代は自動化が進んでいきます。
すでに飲食店でもタブレットやスマホから注文できたり、配膳用のロボットやセルフレジが導入されたりしています。
お客様的には雑な接客を受けるよりもストレスがなくなるというメリットがあります。
店舗側でも人件費を抑えたり、人手不足の解消につながるメリットになります。
こういった情勢の中だからこそ人間的魅力の高い人は重要な人材になりえます。
飲食店での接客はこのスキルを磨ける場です。
マニュアルとして決まっていることも多いですが日々様々なお客様に対して最適な接客を各々が判断して行います。
「笑顔」や「元気」はそれだけで人を幸せにする力があります。
お客様に教わることもたくさんあります。
スタッフに対して「ありがとう」といってくださるお客様にはより力を入れて接客したくなったりします。
空いたお皿をスタッフが下げやすいところに移動してくれたり、新人スタッフを応援してくれたり、お客様から頂けることもたくさんあります。
それを経験すると自分がサービスを受ける側の時にどんなことをしたらスタッフが喜んでくれるかも分かります。
日常生活にこういったさりげない気配りができるようになるとより良い人間関係が築けるようになります。
日々の出勤前に利用するコンビニのスタッフさんと何気ない会話をするだけで、何もない時よりも気持ちが前向きになりませんか?
人材育成能力が得られる
たいていの人は社会に出れば後輩ができ部下ができます。
部下を育成して仕事を移譲していかなければ自分の仕事が回らなくなっていきます。
そのために人材育成能力は不可欠なものです。
仕組化が出来ている店舗は新人育成を先輩のアルバイトさんが行うところが多々あります。
ぼくはジャンルを絞って新人アルバイトさんにその少し前に入社したアルバイトさんから教えさせます。
それによりそのジャンルができることから教えられることにレベルアップします。
想像するよりも行動を何も知らない人にわかるように言語化することは難しいものです。
ただ言語化すればいいわけではなく理解できるように伝える必要があります。
また、出来ているかどうかを確認したり進捗を取るために常に見てあげることも大事です。
そして新人アルバイトさんが仕事ができるようになると自身の喜びになるし自信がつきます。
人材育成の話をしましたが、飲食店は非正規雇用での運営がメインになっているので人材育成だけでなく重要な仕事を任されることも多くあります。
最終的な責任は店長が持つので、思い切ってチャレンジできる機会なのでぜひチャレンジしてほしいと思います。
まかない
唯一の物理的なメリットといえるかもしれません。
しかし無料で出している店舗や従業員食事価格で出している店舗、出していない店舗もあるので、そこは確認が必要です。
賄いに関しては一人暮らしの学生のアルバイトさんには特に大きなメリットになると思います。
ぼく自身も一人暮らしを始めたときに母親が心配して飲食店のアルバイトを勧めてきました。
そして今に至るわけです。
稼ぎやすいことをメリットに挙げられることもありますが、ぼくはあまりそうは思っていません。
扶養に入っている学生の方は年間に稼げる上限が決まっているので一年を通して考えれば大差がないと思います。
短期集中で稼ぐにも、応募の際に長期で応募している人がいればそちらの方が優遇される可能性が高いです。
飲食店で働くデメリット
飲食店のきついという印象はそのビジネスモデルから来ていると思います。
特に昨今は原価の高騰や、最低賃金が上がっていくために人件費も高騰しています。
それに反してお客様から求められる「質」もどんどん上がっています。
ぼくが飲食業を始めた頃もこの傾向がありましたが今はその時をはるかに凌いでいます。
昔のようにおいしいものを提供していれば繁盛するという状況ではなくなっているため、非正規雇用のアルバイトスタッフにも質が求められ、賃金に見合わないという評価を受けることにつながっています。
仕事内容が客数に左右される
平日と週末や閑散期と繁忙期の差が非常に大きい職種です。
サービス業全体に当てはまることですが、一般的に休日となる日が繁忙期となるため、他の人と休日を合わせにくくなります。
一週間でも平日と週末で来客数が倍以上変わることが常です。
同じ平日でも想定以上に急に来客数が増えることもあります。
仕事量が日々異なるためそれに適応するのは大きな労力が必要です。
週末出勤に手当てを付けている店舗はありますが、基本的に来客数が多い日でも少ない日でも給料は変わりません。
人員不足の日
ぼく自身何度も経験してきたことですが、募集を行ってもなかなか集まりにくい業種です。
そのため、必要人数がそろわないままその日の営業を開始せざるを得ないことがあります。
人員不足に関しては店長の責任が大きいですが、営業が始まってしまえばそんなことも言っていられない状況です。
確かにとてもきつい状況になりますが、それを経験して大きくステップアップしたアルバイトさんがたくさんいました。
繁忙日の営業もそうですが、忙しい営業を経験して精神的にもスキル的にも本当にに必要とされる人材が育っていきました。
とくに精神的な部分が大きいと思います。
忙しい時でもスタッフやお客様に気配りができる人がいると、それだけで気持ちが明るくなります。
確かに平日だけちょっと入って給料をもらう働き方をすれば楽ですが、それならわざわざ飲食業で働く必要はなくもっと楽な仕事はあります。
接しにくいお客様の存在
立地にも左右されますが一定数は存在します。
しかしぼく自身の経験から最近は少なくなったと感じています。
仕事柄いろいろな店舗に届くクレームを見ますが、多くは一つの事象のみでクレームを出しているわけではありません。
雑談をしている、ぶっきらぼうな対応をしているなど、
「怒るほどではないが少し気になるくらいの事象が積み重なっている時にミスがあり怒りに火がつく」
というパターンが多くあります。
一生懸命に仕事をしていたらミスをしても謝罪の誠意が伝わり、むしろ応援してくれる方のほうが多いと思います。
たまにはいますが、理不尽な方には店舗として毅然とした態度で接する必要があります。
そこは店舗責任者に任せましょう。
ファッションの制限(店舗による)
昔は黒髪のみだったりしましたが、最近はかなり緩和されていると思います。
髪色自由、ピアスOKという募集もたくさんあります。
首から上に関してはほぼ自由になっているところが多くなりました。
やはりそれでも飲食店として料理を作り提供する場なので、ネイルはNGのところが多いと思います。
また、食事の妨げになるので香水や匂いの強い制汗料、柔軟剤なども好まれません。
飲食店従事者としての身だしなみとして押さえておく必要があります。
派手なファッションをしていても、丁寧で明るく好感の持てる接客をしているとギャップ効果でより好感度が上がる傾向があります。
逆にいい加減な接客をしていると見た目の判断も手伝い嫌悪感が強くなっていきます。
派手な身なりはそれだけで印象に残る武器になります。
良い接客をすれば「とても良い」に代わり、雑な接客をすると「とても悪い」に代わる諸刃の武器です。
どうせなら「とても良い」にしていきましょう。
まとめ
飲食店で働くメリットとデメリットについて書いてきました。
メリットは今ではなくこれから活きてくることが多く、デメリットは今現在についてがほとんどです。
ぼくが飲食業を続けていて今現在「やってよかった」と思うことを挙げています。
前提として働いているということをしっかり自覚しておくことが重要です。
ただ所属しているだけでは得られません。
今、楽をしてお金だけ稼ぎたいという気持ちで働くとデメリットで挙げたことがのしかかってきます。
その場合はそれができる業種を探したほうが効率的です。
飲食店激戦業種です。
つまり、より質が求められる業種になってしまいました。
裏を返せば、それだけたくさんの蓄積された財産がある業種だとも言えます。
それらを若いうちに吸収することはとても大きなメリットといえます。
注意しておきたいこととして、どの店舗でもいいというわけではありません。
自分が働きやすい店舗を選ぶことがとても大事です。
アルバイトといっても人生の貴重な時間を使って行う仕事です。
その時間が有意義な時間になるように自分自身で選んで実りのある時間にしていきましょう。