このまま飲食業を続けていていいのかな?
今の店を辞めたいけれどほかの店はどうなんだろう?
脱サラして飲食店をやりたいけれど初めても大丈夫かな?
コロナ以降、様々な社会の変化が起きました。
その中で大きく影響を受けた業種の一つが飲食業でしょう。
この記事はこれからの飲食業についてまとめました。
「飲食業を取り巻く三重苦」
経費の三重苦
人件費
飲食店のほとんどは非正規(アルバイト)を雇っています。
しかしアルバイトの募集が集まりにくく時給を上げざるを得ない。
最低賃金が上がり続けていく昨今、他業種も時給が上がっていくことからさらに高い時給設定が必要になる。
さらに競合店舗も多いため地域の時給相場に合わせていく必要があるためより高騰します。
営業時間が深夜にまで及ぶ業界のため深夜手当も上乗せされます。
原価
円安による輸入品の価格高騰や輸送代の高騰のあおりを受け、仕入れ価格が上がり続けている。
飲食業は原価率が高いうえに在庫として長期間保存できないという特徴がある。
出数分析を行い適切な在庫管理を行うのはこれまでもやってきたことですが、よりシビアな管理が必要になります。
エネルギー
顕著なのは電気代。
食材の保管に必要な冷蔵庫が常に多く稼働しており、お客様に快適に過ごしてもらうためには空調にも気を配る必要がある。
電気以外にも業態によっては常にコンロを使いガスを多く使う店舗もあれば、焼き鳥や焼き肉のように炭を使う店舗もありどれも価格が上がっている。
需要の三重苦
人口減少
単純に人口が減っているだけではなく、2025年には団塊世代が実質引退し生産労働人口も大きく減少する。
日本政府は異次元の少子化対策と銘打って対策に乗り出してはいるが、成功してもその効果が出るのは20年以上後のこと。
つまり最低でもこれからの20年はその恩恵はないということになる。
消費者のおサイフ事情
給与はあまり上がらず、物価は上がっていく。
つまり実質給与が下がっているようなもの、というのが現状。
どこから節約していくかを考えると外食が真っ先に挙げられる。
生活スタイルの変化(団体から少人数、消費時間の減少)
ひと昔の飲食店では団体予約があれば一気に売り上げが伸びた。
繁盛店では席をつめて無理やりでも座れればOKというお客様も多くいた。
相席のように少し仕切れば同じテーブルでも来店してくださるお客様もいたりした。
コロナにより密を避けるようになり、全員参加から気ごころ知れた仲間うちでの食事の傾向が主流になり席効率はかつてのようには戻らないだろう。
来店の時間も早まり朝まで飲み明かすということはかなり減った。
逆に来店の時間が集中し機会ロスが多くなる。
雇用の三重苦
ブラック業界という風評
今に始まったことではないが、飲食業はブラックという認識が強く働き手が少ない。
にもかかわらず飲食店は減らないので少ない牌の取り合いになる。
Z世代の価値観
給与よりもライフバランスを重視する傾向が強い。
ライフバランスという点を考えると飲食業はかなり不利な業種である。
そして給与も上がらない業種の筆頭ともいえるので若い世代を採用するのはかなり難しい。
103万の壁
飲食店はアルバイトスタッフを多く雇用し運営するビジネスモデルを取ってきた。
その多くは大学生や高校生といった学生である。
ここで課題になるのはよく言われる【103万の壁】。
年間103万円以上にならないようにしている学生アルバイトがほとんどである。
この数年どんどん最低賃金が上がっているにもかかわらずこの【103万の壁】はかわらない。
つまり
働いてもらえる時間が減る→在籍人数を増やす必要がある→募集は集まらない→人手不足
という図式ができる
「3つの棲み分け」
これまでと同じようにまじめに仕事をしていたら継続できる時代は終わったと言える。
とはいえ飲食業という業種がなくなるわけではない。
どこに舵を切るかで大きく変わってくる。
高単価、高付加価値
最も利益を生み、健全に運営できる選択である。
同時に最も難しい選択でもある。
原価に付加価値を上乗せしたものが売価である。
同じものでも付加価値次第で安くも感じ、高くも感じる。
チェーン店で食事をした時のことを思い出してみると分かりやすいかもしれない。
同じチェーンの店でも接客が心地よいほうの店なら安く感じ、接客の感じが悪い店だと高く感じると思う。
商品やサービス、店の雰囲気に至るまでどれだけの付加価値を上乗せできるかを考え実行し、スタッフ一人一人の育成を行う必要がある。
低単価、徹底削減
この選択は大企業の戦略である。
仕入れ価格の高騰の影響は受けるが大企業ならではの金額交渉、仕入れ先の変更、スケールメリットなどによりできる限りの調整は可能である。
またタッチパネルや配膳ロボを代表とするDXの導入により人件費を抑え必要最低限の人員で回す仕組みを作る。
お客様もコロナ以降、接触を避けて生活をしてきたためむしろこのような仕組みの便利さを経験してきている。
高単価のお店には頻繁にいけないなというお客様の需要を満たすことができる。
水光熱をはじめとする固定費を削減、節約することは低単価戦略を取らなくても必要な打ち手です。
趣味、ボランティアの精神
儲からなくてもどうしても飲食店がやりたい!
という気持ちであれば真面目にコツコツでも何とかなるかもしれない。
大きく利益は出なくても生活ができるくらい稼げればOKという人向けです。
とはいえ開店して3年以内に70%、5年で80%閉店すると言われる業種です。
本気で取り組まなければ生活ができるどころかその80%にはいります。
「新たなワークスタイル」
雇われ社員は副業
飲食業は営業時間以外にも開店準備、閉店作業があり長時間労働になりがち。
不定休で副業をする時間も体力もない、と思うかもしれない。
しかし今はパソコンがあれば副業ができる時代。
すぐに稼ぎ始めるのは無理でも少しずつ自分になった何かを始めておくと未来の視野が広がります。
事業主はECによる販売エリアの拡大
飲食店のデメリットは売上の上限が決まっていること。
どんなにお客様が来ても店の広さ以上は来店できません。
どんなに長く店を開けていても1日は24時間以上にはなりません。
席数と回転数でできる売上以上にはならないということです。
しかし、ネットで販売できる商品ができればマーケットはそれこそ世界中に広げることが出来ます。
今は個人でも出品できる環境があるので活用できれば売上を拡大することが出来ます。
「まとめ」
これからの飲食業は苦難の嵐です。
経費は増えていく。
お客様は減る。
働き手が集まらない。
結果利益がなかなか出せない業種になりました。
当たり前のことをまじめにコツコツやっているだけでは現状維持もままなりません。
「なぜ飲食店をやりたいのか」
を改めて見つめ直し、やり続けるために情報を集め知恵を絞り実践していく必要があります。
ただ漠然と飲食店がやりたいという気持ちだけでは続けたくても続けられない時代です。
単価を上げるための付加価値の創造
第二、第三の収益を上げる打ち手
経費を下げるための打ち手
を常に模索してこれからの時代に必要とされる飲食店を作っていきましょう。